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経済学の再生

経済学の再生―道徳哲学への回帰経済学の再生―道徳哲学への回帰
(2002/04)
アマルティア セン

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(著者略歴)
インドの経済学者。哲学、政治学、倫理学、社会学にも影響を与えている。経済の分配・公正と貧困・飢餓の研究における貢献によりアジア初のノーベル経済学賞受賞者。1994年アメリカ経済学会会長。カルカッタ大学経済学部卒業。1959年ケンブリッジ大学トリニティ・カレッジにて博士号取得。その後コルカタ、デリー、マサチューセッツ工科大学(M.I.T.)、オックスフォード、ハーバード、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)などの大学で教鞭を執った。




本書はこれが執筆されるまでに依然として有力であった経済学における工学的アプローチに、限界や補われるべき部分を見出し、経済学にもっと倫理的な側面を考慮する厚生経済学の重要性を説いています。

新古典派などの主流派経済学の理論では「人間は自己の利益を最大化することにのみ注力し、極度に経済合理的に行動する」という前提を提唱してきた。
もちろんこれには当てはまらないケースの方が多く、人はもっと社会規範に基づく道徳哲学や倫理的思慮に影響されて行動することは明白である。
それは現代の我々が日常で「全く無駄使いをせず、収入を最大化するべく労働に明け暮れ、資産を最も効率的な方法で投資し、資産を最大化させる」というような完璧な拝金主義的行為をするわけではなく、多くの人がそれを希みさえしないことを考えても感覚的に理解可能だと思う。

しかし本当に問題なのは、主流派経済学者も人が真に経済合理的に行動するとは考えておらず、その経済モデルをより単純化し、ある程度適応可能なモデルを作り上げようとしたのにも関わらず、いつしか人の非経済合理性を認めてしまうことは自分たちが築いてきた理論を崩すことになるためにそういった道徳哲学的観点を排除してきたところにある。

そしてセン教授はそれによって単に経済学に新しい進歩を加えられるだけでなく、倫理学の方にも何かしら有益なフィードバックがあるのではないかと述べています。




これらは今現在経済学の分野で人気が出つつある行動経済学とも大いに関連する部分の多い内容であったと感じます。セン教授が言うように、既存の「人を経済合理的な生き物」とするような、あまりにも現実と乖離している前提を一旦疑い、新たな観点を導入して経済を考えなければこの先どうにもならないのだと考えます。

特に現代の世界はかつての世界とは異なる部分も多く、ますます経済構造は複雑になっています。そのため人々の経済活動についてももっと不安定な部分、文化・社会規範・宗教などによってある程度見出される心理的傾向などにも注意すべきだと言えると思います。その一つの方法としてセン教授が述べる様な経済学に道徳哲学の観点をという主張はかなり有益なものなのではないかと思います。

それではそのための明確な方法は?というところですが、それは今現在も世界各国の経済学者が研究中のことですね。そして大切なのはこんな時はこういう現象が起きる!だとか、こうすれば全てが上手くいく!というようなお手軽かつ安易な理論やそれに基づく政策で溢れていてはいけないということです。常に経済現象の不安定さ、捉え難さをしっかりと認識しつつ、他分野学問の力も存分に利用して一動物としての人間の行動・判断をどこまでも理解しようと努めることから、真に有用な経済学モデルといものに近づいてゆけるのではないでしょうか?

その方が経済学も今よりますます楽しくなりそうですね。

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