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本のクソ虫野郎

  ~気に入った本・映画の記録と雑記~
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数学的思考の技術


数学的思考の技術 (ベスト新書)数学的思考の技術 (ベスト新書)
(2011/02/08)
小島 寛之

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(著者略歴)小島寛之
1958年東京都生まれ。東京大学理学部数学科卒業。同大学院経済学研究科博士課程修了。現在、帝京大学経済学部経済学科教授。経済学博士・数学エッセイストとして、多方面で盛んな執筆活動を続けている。その分かりやすい語り口には、文系・理系の読者を問わず定評がある。

本書は、著者が本書の中で何度も言うように、数学に関する高度な知識ではなくて、あくまで数学的な(中には経済学的な)考え方を用いて、日常の些細な事柄はもちろん、経済・哲学上の問題など、世の多くの事柄を考えてみようという内容の書です。
 
 
特に気に入った個所としては、特に最近問題が顕在化してきた、年金問題をの原因を「ヒルベルトの無限ホテル」を使って明快に説明し、「人口が減少さえしなければ、永遠に破綻しないねずみ講」である賦課方式としての年金制度の問題点を浮き彫りにする個所など。
現行の年金制度のどこが悪く、どうするべきなのかは知っていましたが、説明にこういった数学理論を用いているところが個人的に新鮮でした。

また、専門書外でもよく見かける、ゲーム理論を用いた、全員が納得する分配の考察、
「ナイト流不確実性理論」とそれに基づく「ダウ&ワーラン効果」、
ネットワーク外部性の持つ経済的効果、など。

特に制度学派の経済理論の話が面白かったですね。
また、限定合理性のような論は、他のいろんな著書で読み知ってはいたものの、それまでの単純な古典的経済理論に警鐘を鳴らす(改善点を入れる)ものとして改めて楽しめました。

そして、これまた個人的に多くの著書で多くの賢人の意見を見て来た「経済成長の呪縛から解き放たれるには?」の問題にも、ミルと宇沢さんの知見を借りて、ある一つの解決の方向性を示唆している。


結果的に振り返ってみると、単に数学的な考え方で日常生活や経済・哲学上の問題を読み解くこれらの見方は面白いというのはもちろん、「どの学者がどんなことを言ったか、そしてそれは具体的にどういうことか」を分かりやすい例を以て平易に解説してくださっているので、そういった、経済的・哲学的な学問に興味があり、表面上でもいいからサッと概説を知るのにも役立つ内容なのではないかと思いました。
ここで知り興味を持った学者やその理論を、彼らの著作を図書館などで借りて調べると理解が深まり良いと思います。

数学が全然出来なくてもまず困ることはないような親切にも程がある内容になっていますので、良ければ一度ご覧になってみてはいかがでしょうか。

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